疑似体験:パーパスドリブン Experience: Purpose-driven

話し手
児玉太郎
アート
黒柳茂
テキスト・イラスト
金巻未来
編集
川辺洋平

Translated by DeepL

ーーアンカースターでは毎週パーソナルトレーナーを呼んでみんなで運動してると聞きました。

はい、1年くらい前に始めました。パーソナルトレーナーが実際に会社に来てくれます。コロナの間はZoomで実施していたのですが、今はコロナも落ち着いてきたので、全員マスクしながらですが、同じ部屋に集まって毎週1時間運動しています。

やっぱりコロナで太ったんです。去年の春、ずっと家にいなくちゃいけなかったときに、外にも出ずにご飯食べてたら、みんな体型がおかしくなってきちゃって。運動大事だなと思いました。

かつ、とても大きくて重要なお仕事を一緒にさせていただいているパートナー様もたくさんいるし、アンカースターはスモールチームなので、1人2人が倒れてしまうといろいろご迷惑かけるので。

なしにろ健康でいないとねと。そうじゃないと、アンカースターのパーパスもパートナー様のパーパスも実現できないよね、ということで、健康管理や体力作りについては会社全体で取り組んでいます。

ーー体を大事にしないとパーパスを実現できないっておっしゃっていましたが、以前、どこかでパーパスドリブンについて寄稿していましたよね。パーパスとかパーパスドリブンっていうのはどういう意味なのかを教えてもらえますか。

パーパスドリブンやパーパスっていう言葉は最近たくさん使われるようになってきましたよね。パーパスという英単語を実際によく聞くシーンといえば、空港での入国審査です。審査官がする質問で「What is the purpose of your visit?」って聞かれますよね。ここでパーパスという言葉が出てきます。「何のために来たんですか」という質問です。それと同じように、パーパスというのは「何のために」あなたや会社が存在して、「何のために」活動していますか、「何のために」やってますかっていう意味です。

そして、パーパスドリブンの「ドリブン」というのは「それによって動かされている」という意味なので「パーパスを強く信じるがあまりそのパーパスに自分が突き動かされている状態」のことをパーパスドリブンといいます。

ドライブというのは自分でやることですが、ドリブンというのはドライブされてるっていう意味ですね。

ーーなるほど。パーパスは「目的」だと覚えていたのですが「何のために」という意味だと言われると、ビジネスに深い意味を与えますね。あと「〇〇ドリブン」というと、他にもミッションドリブンやビジョンドリブンという言葉もよく聞きます。それらとパーパスドリブンがどう違うのかも教えてください。

そうですね。その質問に答えるためには「ミッション」「ビジョン」という言葉の意味からちゃんと理解しないといけないかもしれません。

ーー今さら感もありますが、ミッション、ビジョンの言葉の意味から教えて下さい。まず「ミッション」は、太郎さんの考え方だとどういうものなんですか。

ミッションは「達成できるゴール」あるいは「達成度合いが測れるゴール」のことだと思ってます。

例えば、『ミッション:インポッシブル』でイーサン・ハントという主人公が、悪い人たちの企みを阻止するために、有名なシーンですけど、CIAに潜入して必要なデータを盗む、というミッションがあるんです。それは「盗む」というのがミッションですよね。「盗んで悪事を止める」という。達成できるわかりやすいゴールですよね。

ミッションを立てる会社はたくさんあると思うんですが、僕の見解では、『ミッション:インポッシブル』ほどわかりやすくなくてもいいけど、ミッションに向けてどのくらい進んでるかがわかるように、進捗が測れるものであるべきだと思っています。

例えば「豊かな世界を作る」っていうミッションは「豊かな」がちゃんと測れないと、どのくらいそのミッションに近づいてるかがわからないですよね。でも「ハードディスクを盗む」とか、例えばFacebookのミッションみたいに「世界を一つに繋げる」とかは「今79億分の29億人が繋がってるよね」って測れるじゃないですか。ミッションに対してどれぐらい進んでいるかがちゃんと確かめられて、残りあと50億をどう達成しようかという、具体的な計画が立てられるようなものがミッションです。

ーー「ビジョン」についてはどうですか。

ビジョンは実現したいイメージのことです。

みんなで同じイメージを頭の中に想像できていて、そのイメージと現状にギャップがある。そのギャップを埋めてイメージに近づけていこうとするのが、ビジョンドリブンな状態です。

だから全員が同じイメージを頭の中で想像できているかどうかを確認することはすごく大事だと思います。あくまでイメージ、想像なので、みんなでちょっとずつずれてたりする。「ずれてないよね」「同じことを想像してるよね」っていうのを確認するのが、ビジョンが共通言語になるためには重要かもしれないですね。

ーー以前から企業はミッションやビジョンを設定すべきだという風潮があると思うんですが、最近は、ミッションやビジョンに加えて、さっき出てきた「パーパス」もよく登場しますよね。パーパスって、ミッションやビジョンに変わるものなのか、それとも、パーパス、ビジョン、ミッションどれも併存していいのか、その辺りはどういう風に考えていますか。

もちろん同時に存在していいとおもいます。ただ、全部「未来の話」だし、会社が組織として進んでいくために必要ではあるものの、気をつけないと大混乱しかねないので、個々の意味だけではなくて、それらの関係性も理解しないといけないと思います。

ーーそこ、僕もよくこんがらがってしまうんですけど、ミッション、ビジョン、パーパスがそれぞれ、どういう関係にあるのか教えてください。

これは図を作ってみたので、図を見ながら説明させてください。まず、ミッションは、さっき言った通り、達成可能もしくは計測可能なゴールです。

この図で言うと、この星印。でもミッションは達成すると終わっちゃいますよね。映画『ミッション・インポッシブル』でも主人公が毎回ミッション達成して終わるじゃないですか。だけど新しいミッションがまた降って来ますよね。だから、ミッションは達成に近づいたり、達成してしまってもよくて。

もしくは途中で新しいミッションに変わったりすることもあります。つまり、ミッションはアップデートしてもいいものだと思っています。その度に全チームや、全社員に「新しいミッションに変わりました」「こういうミッションです」という説明は必要だと思いますが、アップデートして良いものです。

そしてビジョン。この図で言うと、雲みたいなところですが、これは「ミッションや企業活動を進めて行くと、こっちに向かっていくよね」という、みんなの頭の中にあるイメージ、想像のことです。

これをみんなの頭の中に描いてもらってもいいし、会社によってはビジョンを絵にしたり、ポスターにしたり、アートにしたり。あるいはビジョンをあえて「言葉」で表現することによって、よりビビッドで正確なイメージが頭の中に描けるように工夫している会社もありますね。向かった先にある理想の姿、理想郷のイメージ。「こうなったらいいな」の想像がビジョンです。

ーーでは、「パーパス」についても教えて下さい。

最後にパーパスは、冒頭で話したように「なんでそれやってるの」という理由のことです。「なんでこのミッションやってるの」「なんでそのビジョンなの」みたいな、根底にある、自分がなぜそれをやっているかの理由です。イーサン・ハントはなんであんな命の危険を冒しながら、インポッシブルなミッションを達成しようとしてるのか、ということです。

イーロン・マスクは、スティーブジョブスは、ビルゲイツは、マーク・ザッカーバーグは、「なぜ、なんのために」それぞれ自分たちが想像しているビジョンとか、達成したいミッションに向かっていってるのか。

パーパスは会社とか人それぞれだと思うんです。世の中をこうしたいからとか、暮らしをこう進化させたいからとか、苦しむ人を減らしたいからとか、自然を大切にする人類でありたいからとか。そんなパーパスがあって、その上にミッションやビジョンが成り立ってる感じです。

ミッションとビジョンとパーパスは共存できます。このうち2個だけあってもいいし、1個だけあってもいいし。もちろん、全部あってもいいと思います。

ただ、たくさんあればあるほど複雑になっていくので、ちゃんと説明できる状態に整理して、しっかりとコミュニケーションを社内外で取れるようにしておくことが大事かもしれないですね。

ーービジョンって、どういう世界を実現したいかっていう「自分」がやりたい世界観なんだけど、パーパスは「何かのために存在する」という、「相手」があって初めて成り立つものなのかなと聞いていて感じました。

本当にそうです。最近、世の中が、自我というか、自分たちのわがままだけで存在することを許さなくなってきている感じがします。今までは「こういう会社を作ってみました、こういう商品が作れます、いい感じだからちゃんと対価払ってね」で、たくさんの会社が成り立ってたと思います。

でも、コロナや、昨今の色々なムーブメントもあってか、世界中で「お互いに意味のあることをしようね」っていう雰囲気が出てきて、それが企業にも及んでいると思います。

「あなたの会社は世の中にどういう意味があるんですか?」「何で存在するんですか?」というのを問われ始めていて、「弊社はこういう世界を想像してます」っていうビジョンだけだと「なんでですか?」と質問で返されてしまう時代に今なってきていています。

「自分たちはこういう資産やスキルを持っているから、こういうふうに社会に貢献できると信じています」「そうすると社会がもっとこういうふうになると信じています」みたいなことをちゃんと説明できてはじめて「それならあなたの会社を応援しますね」「あなたの会社の活動に賛同しますね」となる感じが、たった数年の間で出てきましたね。

ーーすごく納得できます。もうひとつ聞きたいのが、いまもおっしゃっていましたが、パーパスを設定すると応援されやすいですよね。それをうまく活かしたパーパスブランディングという言葉も最近よく聞きます。それについては、どう考えていますか?

パーパスを自社のブランディングに使うことによって、いい会社だな、かっこいい会社だな、社会的な役割を果たそうとしてるんだな、と消費者が賛同者に変わっていきます。一度賛同すると、ずっとその会社の商品を買ってくれるので、ビジネスにもとても有益な考え方だとは思います。

ただ、気をつけなくちゃいけないなと思っているのは、本当はパーパスドリブンじゃないのに、表面だけパーパスブランディングをしてしまうこと。外向けには「こういう存在でありたい」「こういう社会課題を解決したい」って言ってるのにも関わらず、社内では日々の数字を追い求められ「あのブランディングは言ってるだけで、とにかく明日の数字を達成しろ」ってなってしまってうと、それはただの「パーパスブランディングをしているパーパスドリブンじゃない会社」になってしまいます。

そうなると「この会社は言ってることとやってること違うよね」と思われてしまう。賛同してくれていたはずのお客様に、パーパスブランディングによって、かえって「言ってるだけじゃん」と、会社の性質をバラしてしまうこともあります。

「本当にパーパスドリブンであること」が、パーパスブランディングをする上での絶対条件だと思います。

パーパスを定めた会社は、外向けに言っているパーパスを、本当に日々の活動の中で実施できているかどうか、がこれから問われていくかもしれないですね。

ーーなるほど。冒頭で太郎さんが、アンカースターでパーソナルトレーナーをつけて健康にも気をつけるようにしてるって言ってたましたけど。外面だけじゃなくて、中身まで気にしないとだめってことですね。

本当は楽に外面だけ変えられるようなものがあったらいいんですけどね。だって運動大変なんですもん。ボタン一つで見栄えが良くなるボタンがあったら僕は押したくなっちゃうんだけど。

でも、やっぱりまずは筋力つけて、ちゃんと内臓脂肪も減らして、本当に心身共に前向きでポジティブで元気いっぱいなアンカースターじゃないと。

見た目は良くなったけど、目に覇気がないよとか、言われたら恥ずかしいよね。やっぱり頑張って運動しよっと。

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