疑似体験:日本語 Experience: Japanese Language

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関ソフィア

※英語の記事を日本語に翻訳しています

英語のネイティブ話者である私は、英語を話すときに文の構成や意味についていちいち意識したり、20ほどの単純な文法と50のよく使われるフレーズ、100の基礎的な語彙に縛られて会話していません。言葉に詰まることもほとんどありません。

学びたいその言語を母語とする国に行く最大の利点は、日常生活の中で毎日その言語に触れられるということです。私の日本語に対する感覚は日本に移住した2年前とでは、180度変わりました。日本に着いた直後は、この言葉はどういう意味だろう?この食べ物はなんて説明してあげるのがわかりやすいのかな?この文脈だとこの動詞であってるのかな?と、頭の中が質問だらけです。ありとあらゆる言葉のやり取りが新鮮で、新たな発見ばかりでした。不完全だった知識を埋めていくかのように、ものすごいスピードで知らなかったことを吸収していきました。英語を母語としている私には、特定の事柄や場面のみに使用される、オノマトペや間投詞がとても不思議で興味深いものに映りました。日本人間でのコミュニケーションに不可欠で、日常的に使われている日本語の多くは英語には存在せず、訳せないものも数多くあります。今の私の知識では解説しきれないところも多々ありますので、今回はご紹介程度に留めますが、少しでも日本語に興味を持ってくれた人がいるのなら嬉しいです。

では皆さん間投詞とは何かご存知でしょうか?間投詞というのは文字通りの意味と少し違い、感情を伝える言葉やフレーズのことを指します。一方、英語の間投詞は、“It’s raining, and I forgot my umbrella today. Ugh!”(雨降ってるじゃん、傘忘れちゃったよ!あーあ!)や“Wow, the stars are so beautiful tonight.”(すごーい!今夜は星がすごくきれいよ!)のように、状況に対する反応として使われます。文法上、残りの文とは離れた位置で独立しており、句を区切ったり、その文のもつ感情やトーンを表すために使われます。日本語でも基本的には同様なのですが、異なるのが「相槌」です。相手にちゃんと話を聞いていることを伝えるのがこの相槌と呼ばれる間投詞の一種です。相槌が興味深いのは相槌を打った人は賛成反対の意思を示さずともその話を理解していると伝えることができる点です。相槌というのは発言している相手にとって不快な割り込みにならず、また会話というものは常に双方向であるということを改めて教えてくれる絶妙な感覚を持った言葉です。相手によって敬語になることもありますが、相手が誰であれ必ず会話で使用されています。

言語を学ぶ上で聞き取る力が最も重要と言っても過言ではありません。このことはどの言語にも言えることですが、特に日本語はそう感じます。実は日本語は聞く側の重要性が多言語に比べ圧倒的に高いのです。それも日本語は英語のフランクで直接的なコミュニケーションとは大きく異なり、表情やボディーランゲージを読み取ったり、言葉の裏にある真意を読み取ったりするのが非常に重要な言語だからです。日本語で間投詞というのは、会話のキャッチボールの際、相手にボールを渡したままこちらのメッセージを伝えることのできるものなのです。

では次にオノマトペとは何かご存知でしょうか?ちなみに英語だとOnomatopoeiaと、とてもスペリングが難しいですが、オノマトペとは、音を表す言葉のことです。 bam, meow, crunch, vroom などがいい例ですね。間投詞と似た点はありますが、オノマトペはまた別のジャンルに属します。お気づきでないかもしれませんが、日常会話で使用される日本語のオノマトペの数は英語とは比にならない程多く、無数に存在します。日本に初めて来る海外の方でもすぐに気が付くはずです。動物、人、自然、機械でもなんでも対応したオノマトペが存在します。日本には、”少ない方が美しい”という感性があり、それがオノマトペのシンプルさに表れているように感じます。何百種類もある日本のおいしい食べ物の食感も、それぞれたった一言で言い表してしまうこともできるのです。

日本語のオノマトペは、感情、動き、感覚も表すことができます。厳密にはオノマトペの定義から外れますが、音のないものも表現することができます。それらの言葉はイデオフォン、擬態語とも呼ばれるそうです。英語ではほとんど見受けられませんが、婉曲表現や間接表現に分類されるかもしれません。

英語話者は、これらの単語の訳された意味はわかるかと思いますが、感情というのは個人的な体験でもあるため、言葉のままの感情まではわからないかもしれません。逆に言えば、もし相手が理解できるのであれば、「”I’m annoyed right now”(気に障っている)」より、「イライラしている」のほうが気に障ることがどのように心に影響を与えているのか伝わるのです。日本語は、話しているときの文脈が非常に重要視される言語であり、会話の根底に相互理解の感覚があります。そのためドイツ語や英語をはじめとした、文脈に頼らない言語のように何でもかんでも詳しく説明するのではなく、相手に情報の不足分を補ってもらうことができるのです。

ご紹介できたのはほんの一部ではありますが、これらのような要素が、日本語がほかの言語と一線を画す理由です。解釈の余地を残し、言葉が不完全であることがむしろ望ましい、人間の複雑さを共感しあえる独特な言語なのです。残念なことに、オノマトペの数が膨大である理由や、間投詞がいつから使われるようになったかの研究はあまりされていません。またオノマトペや間投詞に関するサイトも数多くありますが、その言葉のリストの多くは物足りず、日本のステレオタイプと日本語の情報を混同してしまっているものばかりです。ほかの言語同様、日本語も文化、歴史、現在の出来事の積み重ねによって形成されていくものですので、少しずつ解き明かしていく他ありません。言語の探求の第一歩としてオノマトペや間投詞ほど興味深く、ワクワクする考察対象はありません。

出典
NA, 2022, Writing Explained, accessed May 19, 2022,
https://writingexplained.org/grammar-dictionary/interjection

Japanese Study, 2020, Coto Academy, accessed May 19, 2022,
https://cotoacademy.com/conversational-japanese-aizuchi-conversational-interjections/

Jenie Gabriel, 2016, Gengo, accessed May 19, 2022,
https://gengo.com/language-and-culture/japanese-onomatopoeia-meanings/

Hasada Rie, 1994, Open Research Repository, accessed May 19, 2022,
https://openresearch-repository.anu.edu.au/bitstream/1885/132958/4/b18941692_Hasada_Rie.pdf

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