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Anchorstar Journalについて
話すだけで、残る。
Anchorstar Journalは、週に一度、15分だけ時間をいただいて、「この一週間の発見」を話していただくサービスです。聞き手が対面でお話を聞いて、それを記録にして納品します。やっていることは、それだけです。
このサービスをご説明すると、最初に言われるのは「AIでできるのでは」ということです。たしかに、文字起こしも整文も、今はAIでできます。スマホに向かって一人で話して、AIに処理させれば、それなりのものができるはずです。
ただ、実際にやってみるとわかります。一人では続きません。
画面に向かって、反応のない相手に、自分の一週間を語る。これは想像以上に難しいことです。何を話していいかわからない。話し始めても、手応えがない。三週間もすれば、やらなくなります。
ところが、人間が目の前に座っているだけで、言葉の出方が変わります。しかも、聞き手は御社の社員ではありません。社内の文脈を共有していない人間だからこそ、前提から説明し直す必要があり、その過程で思考が整理されていくようです。社内では「わかるでしょ」で済んでいたことを、一から言葉にし直す。それが結果的に、自分の考えを構築し直す時間になっています。
毎週決まった時間に聞き手が来るので、話さざるを得ません。この強制力が、習慣をつくるようです。ジムのパーソナルトレーナーに近いかもしれません。
このサービスの核はAIではなく、人間が来ること。今のところ、そこが代替できない部分だと感じています。
続けていく中で、予想していなかった声もいただいています。
「Journalを意識して、常に課題意識を持って生活することで、考える機会が増えました」というマネージャーの方がいます。毎週「発見」を聞かれるとわかっているので、残りの6日間も自然と発見を探すようになるそうです。15分のセッションが、一週間の過ごし方そのものを変えている。これは私たちが意図して設計したわけではなく、繰り返しの中から生まれた効果でした。
「自分でも認識できていないが、大事だと思っていることが、ふと言語化できる瞬間があった」という方もいます。話す前は何を話すかわからなかったのに、話し終わると自分の考えが整理されている。聞き手がいることで、思考に輪郭ができるようです。
面白いのは、自分ではうまく話せなかった、はちゃめちゃだったと感じている回ほど、仕上がったジャーナルを読んで驚かれることが多いということです。散らばった言葉を、人の手で整えて納品するので、話した本人が「自分はこういうことを考えていたのか」と気づく。話すこと自体が目的ではなく、記録として整ったものが返ってくることで、思考の整理が完了するという構造になっています。
もうひとつ、想定以上の変化が起きているのは「共有」の部分です。
Anchorstar Journalには「フォロー制度」という仕組みがあります。あるメンバーのジャーナルを、別のメンバーにも自動的に届ける仕組みです。初期設定では参加者全員が相互フォローの状態からスタートしますが、誰が誰のジャーナルを読めるかはご相談に応じて調整できます。
あるプロジェクトチームでは、7名全員でジャーナルを共有したところ、普段は見過ごしがちな課題が明確になり、共通言語が自然と生まれたと聞いています。別の組織では、リーダーが今考えていることが飾られた言葉ではなくそのまま届くことで、経営と現場の距離が縮まったという話もありました。
上司が自分の思考を開示する機会は、日本の組織にはほとんどありません。1on1で部下の話を聞くことはあっても、上司が「今週、自分はこういうことを考えた」と共有する仕組みはない。ジャーナルが届くので、転送するだけでそれができます。自分でSlackに書くのは気が引けても、第三者が整えた記録であれば共有しやすいようです。
結果として、普段は控えめなメンバーの考えが見えるようになったり、新しいメンバーが以前とは違う率直さでフィードバックしてくるようになったり、ということが起きています。
組織の中で最も見えにくいのは、人の思考です。会議の議事録には決定事項は残りますが、なぜその判断に至ったのかは残りません。日報にはタスクの進捗は書かれますが、考えたことは書かれません。
ジャーナルは、その「考えたこと」を残します。
しかも、人が変わっても残ります。異動や退職があっても、その人が何を考えていたかが記録として残っています。新しく着任した方が前任者のジャーナルを読めば、数字や引き継ぎ資料だけではわからない、判断の背景や迷いに触れることができるかもしれません。
活用の仕方は、組織によって様々です。プロジェクトの紆余曲折を記録として残す使い方もあれば、研修後の効果測定に使われることもあります。1on1の対話材料として活用されている例もあります。私たちが想定していなかった使い方も多く、正直なところ、まだこのサービスの可能性を把握しきれていません。
長く続けるほど、記録の価値は増していくのではないかと考えています。一人が一年続ければ48本のジャーナルが残ります。100人なら年間4,800本。10年で48,000本。数字や議事録には残らない、判断の背景や迷いが、検索できる状態で積み上がっていくことになります。
そして、そのテキストは人間だけでなくAIにも読めます。将来、組織のAIに過去のジャーナルを読み込ませることで、数字だけでは見えない文脈を理解できるようになる可能性があります。まだ先の話ですが、そういう使い方も視野に入れています。
個人的には、役員の方にも受けていただきたいと思っています。
役員の思考は、組織の中で影響力が大きい一方で、見えにくく、残りにくいものです。退任すれば消えてしまいます。引き継ぎ資料には書けない種類のもの——判断の迷いや、事業への想い——が、毎週15分話すだけで記録として残ります。
まだそこまでは実現できていませんが、いつかお届けできればと思っています。
2026年2月14日
児玉 太郎