People: Andreas Seidler

インタビュー・テキスト
金巻 未来
話し手
ザイドラー アンドレアス

電話をしながら見えない相手にお辞儀をしつつ「その件につきましては、ご放念ください」と誰よりも流暢な日本語を話すザイドラー・アンドレアス(以下、アンディ)。大手コンサルティング会社での充実した日々を離れ、まだなにもないアンカースターにやってきてから試行錯誤の7年間。いまでは、アンカースターの様々な活動の中核を成すアンディに話を聞いてみました。

Andreas Seidler, Senior Director : シニアディレクターとして、日本企業の事業転換に従事。前職のボストン・コンサルティング・グループ(東京)では、ヘルスケアや工業製品の分野で、企業戦略の立案や、グローバルPMI案件に従事した。ドイツで生まれ、幼少期をドイツと日本で過ごす。大学入学前には、お笑い芸人として研修を受け、日本のテレビ番組にも出演した経験がある。趣味は地元横浜の散策。

Q. アンカースターではどのような仕事をしていますか?

シニアディレクターという役職で仕事をしています。守備範囲はとても広いです。私たちが大切にしている「Envision More(もっと想像する)」という理念を源泉に、チームメンバーが新しい企画やプロジェクトを生めるように、一緒に伴走したり、仕組みを考えたりしています。

アンカースターはとても有機的で、あるプロジェクトで生まれたアイディアやコンセプトを他のプロジェクトに接続したときに、全く新しい価値が創出されることも珍しくありません。むしろ、それこそがアンカースターだと思っています。ですから、なるべく俯瞰して会社全体で起きていることを見て、あちこちに散らばる点と点をつなげようとしてみることも大切な役割の一つだと思っています。

また、もう一つ大きな役割として、CEO Agenda事業の責任者をしています。CEO Agendaは、直訳すると「経営者の議題」という意味になります。事業ミッションは「(クライアントの)経営者と一緒に、重要ではあるものの優先度が上がらないこと、に取り組むこと」です。「優先度が上がらない」のには、当然様々な理由があり、対処方法も毎回異なります。共通言語を生み出したり、組織内の色々な人と話したり、新しい体験を企画したり、数字のシミュレーションをつくったり。ありとあらゆる手段をつかって、それが「Agenda(検討すべき議題)」になるきっかけを探し続けています。必ず上手くいく方法は無いので、経営者の方や、組織の中の人となるべくたくさんの時間を過ごして、一緒に考えています。

Q. アンディさんにとって、仕事とはなんですか?

私にとって仕事とは、「自分と世の中をつなぐ活動」だと思っています。かっこよく言うと「インターフェース」とも言えるかもしれません。自分自身、あるいは仲間(社員、クライアント、パートナーなど)が想像したり、妄想したりしていることをアウトプットする(=仕事)ことで、世の中とのつながりが創出できているように感じます。

つまり、自分の中で「仕事」の定義はとても広いものです。良くも悪くも、朝起きてから寝る前までのすべての活動、自然体でいる自分のすべてが「仕事」に繋がっているともいえます。もちろん、エネルギーを消費する会議も、めんどくさい作業もありますが、「日々自然体で生きている状態=仕事」になっているのはとても幸せなことだと思っています。どうやら、なかなか珍しいみたいですね。

Q. アンディさんが考える「仲間」とはなんですか?

大学時代のインターンから現在まで、日本のケーブルテレビ局や、芸能事務所(実は芸人として活動したことも)、戦略コンサルティング会社など多様な職場で仕事をする機会をいただいてきましたが、一度も「自分だけ」で仕事をしたことはありません。ですから、未だに自分ひとりの力だけでは、なにもできる自信がありません。なにかを考えるときも必ず仲間の力を借りて壁打ちしながら思考を深めようとしていますし、それを実行するときも、必ず誰かが自分の弱点を補ってくれています。そういう意味では、仲間は必要不可欠な存在です。

そして、自分の母国語はドイツ語なのですが、第二外国語である英語と、第三外国語である日本語で仕事をしているので、ずっと海外で背伸びをしながら働いている感覚もあります。それを支えてくれているのがまさに、仲間の存在だと思います。

Q. アンカースターでは、どんな「仲間」と一緒に仕事したいですか?

いろいろなことをよく「想像」する仲間と一緒に仕事をしたいです。アンカースターは小さなチームでも、常に大きなことにチャレンジしています。それが実現できることを強く信じて、実現できているところを一緒に想像して、実現するための行動を共にする仲間がほしいです。

仲間に求めるスキルでいうと、日本では聞き慣れないかもしれませんが「Mental Agility」があると嬉しいです。Mental Agilityを辞書で引くと、「何か物事が起こった時に柔軟な方法で対応し、異なるアイディアの間を迅速に動くことができる能力」と書かれています。アンカースターの周りには、多国籍な仲間、様々なカルチャーを持つクライアント、世界中のパートナーが日々集っていて、異なる価値観が良い意味でぶつかり合っているので、Mental Agilityは必要不可欠なスキルと言えると思います。

Q. アンディさんを「突き動かしているもの」はなんですか?

「もっと見たい」という知的好奇心が常に自分を掻き立てていると思います。感動することが大好きなので、もっと見たい、もっと感動したいという欲求が根本にあります。

例えばアンカースターで、仲間のひとりがなにか新しい、面白いことを想像したとします。それに対して、最初はもちろん「そんなの無理でしょ」「ありえないでしょう」という反応が多いでしょう。仲の良いパートナー企業に相談してみても、その場では「面白いね」と盛り上がったりしたとしても、結局なにも起きないことがほとんどです。そんなときに「何がどう変われば、これを実現できるんだろう?」という風に想像して行動してみることが大好きです。それが実際にうまくいったら、自分も周りのみんなも「なんと!実現できてしまった!」って感動している妄想が頭の中にあって、その妄想をどうしてもリアルにしたいという気持ちが自分を突き動かしています。

ちなみに、それが難しそうであればあるほど燃える性格みたいで(笑)。実際にいまも、いくつかの妄想を実現するために、本当に少しずつ、動きをつくるための「ピース」を、集めようとしています。あまりに少しずつなので、年単位の時間がかかっていたりするものもありますが、諦めていません。時には、だめな失敗や派手な空回りもします。それでもやり続けている原動力は、やっぱり好奇心なんだと思います。

Q. アンカースターで印象に残っているエピソードはありますか?

自分がアンカースターに入社することになったときのことを今でも鮮明に覚えています。児玉に「アンディはスキルじゃないからね。想いだから。想いで仕事しよう。」と言われたことです。当時は意味がわからなかったのですが、最近になって意味がわかってきたような気がします。

アンカースターは本当に小さなチームなので、いわゆるメソッドというか、サステイナブルな手法はいままであえて確立してきませんでした。結果として、その人の生き様や特有の長所や弱点も含めて、社員一人ひとりが「想いを持っている人のまま商品」になっています。ある意味とても生々しいチームだと思います。
でもそれがクライアントやパートナーに伝わっていて、評価をいただいている気がしています。

Q. 典型的な1日のスケジュールを教えてください。

あらためてこうやって書き出すと、ワーカホリックに見えるかもしれませんが、実際は作業と作業の間で場所を移動したり、息抜きのために外を散歩したりしています。

06:30     起きる
07:00-08:00   メール確認と対応(海外からのメールが多い)
08:00-09:00   自宅からNYのブランドエージェンシーとの電話会議(日本クライアントとのプロジェクトの進捗について)
09:00-11:00   自宅で日本の経営者との打ち合わせに向けての資料づくり(2024年米大統領選の共和党予備選の状況のまとめ)
12:00-13:30   会社へ移動とランチ
13:30-15:00   メンバーとの打ち合わせ(それぞれの企画についての議論)
15:00-17:00   クライアントミーティング
17:00-21:00   作業(契約書づくり、社内企画の資料作りなど)
21:00-22:00   ロンドンのコンサル会社との電話会議(日本市場進出について)
22:00-23:00   帰宅

 

Q. 学生時代はどんなことをしていましたか?

学生時代によく通っていたパブ

ドイツの文化でもあるのですが、みなさまの想像通り、とにかくお酒をたくさんのんでいました。夜になると仲間とパブに出向いてひたすら話していました。ものすごくくだらない話から、政治スタンスの議論まで、酔っ払いながらも語り合うのが日課でした。

Q. 週末はどのように過ごすことが多いですか?

家族と一緒に、現在住んでいる横浜付近を散歩したりします。特に「四季」という概念がとても好きで、それぞれの季節が持つ魅力を満喫するようにしています。海の日には海に行くし、山の日には山にいきます。季節という自然がつくったものに上乗せするかたちで、人間が独自にイベントをつくったという、人間と自然の関係性がとても興味深くて、プライベートでは季節をベースに動いているといえます。

また、毎週末サザエさんを欠かさず見るのですが、サザエさんの中にも季節の花が飾ってあります。そのエピソードの中で描かれる季節の花々や背景に、日常の中の四季を感じられる点がとても気に入っています。

Q. 好きなコンテンツはなんですか?

よく聞くPodcastと、いちばん最近読んでおもしろかった漫画をあげておきます。本や漫画はKindleに3000冊くらいはいっていて常に持ち歩いています。

<よく聞くPodcast>
Lex Fridman Podcast“ 話ながいけど、結果として深くなる
Sean Carroll’s Mindscape“  Seanの声が好き
Critical Nonsense”  ポッドキャストのネーミングセンスに一目惚れ

<最も最近読んだ漫画>
“ダーウィン事変”  自分で続きをかってに頭の中で書いています
“チ。” 宗教と科学の関係について考えさせられるんです
“あれよ星屑”  何回も読み直しています

おわりに

今回、長年一緒に働いているアンディの話をじっくりと聞く機会が持てて、今まで知らなかったことや新たな気付きがたくさんありました。常に忙しそうにしているアンディですが、彼の中には真摯な仕事への情熱があり、仕事を心から楽しんでいることが伝わりますね。これからも、素晴らしい仲間と共に、より良いチームを築いていけたらと思います!

<現在募集しているポジション>
アンカースターでは現在、以下のポジションを募集しています。
ご興味のある方は、contact@anchorstar.comまでご連絡ください。お待ちしております!
Director, CEO Agenda Consultant
Corporate Assistant

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